2025年SPEサーモフォーミング会議からの考察

今年アメリカで開催された2025年SPEサーモフォーミング会議では、産業用および包装用途におけるサーモフォーミングの最新動向に焦点が当てられ、Perstorpもその議論に参加できたことを誇りに思います。

本イベントには250名を超える業界関係者が参加し、今後の材料革新や技術進化を方向づける貴重な交流の場となりました。会議では、業界の現状だけでなく、その先の未来に向けた重要な示唆が得られました。

ポリスチレン(PS)からの転換点

サーモフォーミング分野で「加工性に優れた素材の代表」とされるポリスチレン(PS)ですが、その将来性については多くのセッションで議論が交わされました。リサイクルPSの入手難や、リサイクル率の低さが課題として挙げられ、代替材料としてPETPP(ポリプロピレン)の活用が注目されています。

一方で、これらの代替素材にも課題があり、特にAkestra™のような新素材が、従来のAPETに対する性能向上ソリューションとして期待されています。

■ Tray-to-TrayT2T)リサイクルへの要望

会議で最も強く発信されたメッセージの一つが、トレーtoトレーへの専用リサイクルシステムの必要性でした。米国ではボトルリサイクルに関するガイドラインが主流であり、サーモフォーム包装への対応が遅れているのが現状です。

いくつかのプロジェクトでは、小売店舗での回収システムの試験導入や、消費者による選別・返却の促進が進められています。これにより、PET成形品向けの専用リサイクルフローが確立され、地域ごとの循環経済モデルの実現が期待されます。

また、EPR(拡大生産者責任)法やミニPPWR制度が各州で導入される中、米国でも欧州の「Tray-to-Trayプロトコル」に倣った対応が急務となっています。

PP(ポリプロピレン)はカーボンフットプリントが低い素材である一方、着色材の混合による機械的リサイクルの難しさや、成形時の狭い加工条件が障壁となっています。これにより、PCR PP(使用済再生PP)の活用が品質面で制限されているのが現状です。

コンポスタブル素材と紙包装のジレンマ

米国市場では堆肥化可能プラスチック(コンポスタブルプラスチック)に対する信頼性が依然として低く、特に産業用コンポスト施設での処理実績の乏しさが懸念されています。また、家庭用コンポストの全国的な普及も現実的ではありません。

加えて、紙素材の導入(ペーパライゼーション)が注目されつつあるものの、サーモフォーミング用途での採用は限定的です。LCA(ライフサイクルアセスメント)上ではプラスチックより優位でない場合もある一方で、消費者の印象は紙に好意的であり、企業は科学的根拠と市場感情の間での調整を迫られています。

Akestra™による革新の推進

Perstorpは本会議にて、Akestra™を紹介し、数少ない原材料レベルの革新例として注目を集めました。Akestra™rPETやバイオPETとの共押出が可能なポリエステルで、PETを使用した成形包装の可能性を広げる素材です。

主な特長:

  • 最大95℃の耐熱性
  • ガラスのような高透明性
  • 食品接触安全認証(EFSAおよびFDA取得)
  • 既存のPETシート製造ラインへの容易な組み込み

対応用途:

  • ホットフィル用パッケージ
  • レトルト・テイクアウト容器
  • ホットフードサービス包装

業界全体の持続可能性に向けた取り組みが加速するなか、成形材料の未来は大きな転換点を迎えています。Perstorpは今後も、新しい素材ソリューションを通じて、より循環型で環境負荷の少ない社会の実現を目指していきます。

Akestra™の詳細については、当社ウェブページをご覧ください。