化学産業の持続可能性を支える「RE-carbonization」

医薬品や衣料品、家電製品、スマートフォンなど、私たちの社会に欠かせない多くの製品は、化学品と炭素原子を材料の基本構成要素として成り立っています。しかし現在、その炭素のほとんどは石油や天然ガスなどの化石資源由来であり、製品のライフサイクルの終わりには大気中に放出されています。世界全体では、化学産業は産業部門の温室効果ガス排出量の約14%を占めているとされています。

近年、プラスチック汚染、資源枯渇、廃棄物問題への関心の高まりを背景に、循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行が加速しています。各国政府はリサイクル材の使用義務化や使い捨てプラスチック規制などを強化しており、企業には材料の設計、生産、使用、回収のあり方を見直すことが求められています。また、EUのバイオエコノミー戦略など、バイオマスやリサイクル原料の活用を促進する政策も広がっており、化学産業においても化石原料からの転換が進みつつあります。

化石資源依存から循環型炭素ソリューションへ

Perstorpでは、循環型社会の実現は単なる規制対応ではなく、競争力と持続性を確保するための重要な戦略であると位置付けています。Perstorpはリサイクル原料、バイオベース原料、CO₂由来原料の利用拡大を通じて化石資源への依存を低減し、製品ライフサイクル全体で環境負荷を最小化する取り組みを進めています。

化学製品のカーボンフットプリントの多くは原料と廃棄段階で発生し、場合によっては全体の80%以上を占めることもあります。そのため、バイオマス、リサイクル廃棄物、CO₂などの代替原料への転換は、排出削減における最も有効な手段の一つとされています。この原料転換を進めることで、Perstorpは新しい市場機会の創出や顧客との連携強化、持続可能な消費・生産への移行に貢献しています。

Perstorpは、例えばホットフィル食品包装向けPETリサイクルを可能にする高性能ポリエステルAkestra™などの製品を通じて、循環型材料フローの実現を支援しています。また、Pro-Environment Solutionsシリーズでは、ISCC PLUS認証を取得したリサイクル原料や再生可能原料をマスバランス方式で使用し、化学的・物理的トレーサビリティを確保しながらCO₂排出削減に貢献しています。

EUで進む持続可能化学品の制度整備

現在、化石原料の代替に向けた最も先進的な取り組みはEUで進められています。EUでは持続可能な化学品と製品のための規制枠組みの整備が進められており、持続可能な製品への需要創出が重要な政策課題となっています。

持続可能な炭素源が輸入化石資源に代わることで、EUの資源レジリエンスが強化されるだけでなく、新規投資の促進やグリーン転換の加速にもつながると期待されています。

欧州の炭素需要と供給ギャップ

現在、欧州における炭素需要は年間約12億トンとされています。2050年までには、化石燃料やエネルギー用途の削減により、この需要は半減する見込みです。現在の炭素供給の約4分の1はバイオマスやリサイクル資源、CO₂などの持続可能な炭素ですが、2050年までに最大40%まで増加すると予測されています。

しかし、EUが持続可能な炭素の潜在能力を最大限活用した場合でも、2050年時点で1億〜3億トンの供給不足(カーボンギャップ)が発生すると見込まれています。そのため、持続可能な炭素資源の効率的な配分が重要な政策課題となっています。

持続可能な炭素政策の必要性

現在のEU規制では、持続可能な炭素資源は主にエネルギーや輸送分野に優先的に割り当てられており、化学産業は不利な状況にあります。材料や製品のRE-carbonizationを進めるためには、炭素政策全体を見直し、化学分野への持続可能炭素の活用を促進する必要があります。

私たちは、すべての持続可能な製品に対して強力でコスト効率の高い政策を実現できる枠組みを構築することは可能であると考えています。このような枠組みは、EUの化学産業がより競争力の高い産業へと長期的に移行することを促進すると同時に、新たな投資を呼び込み、CO₂排出量を迅速に削減しながら、消費者にとっても負担可能なコストで実現することができます。

この枠組みの中心となるのは、EU市場で販売される最終製品に持続可能な炭素の使用を法的に義務付ける制度です。これにより、持続可能な化学品や原料に対する需要が生まれます。また、さまざまな原料間で健全な競争を促し、イノベーションや地域ごとの条件に応じて最適な解決策が生まれるよう、すべての持続可能な炭素源が互いに競争できる環境を整える必要があります。

さらに、十分な市場規模を確保し、製品間の公平な競争条件を実現するため、この義務制度は幅広い製品カテゴリーに適用されるべきです。移行を柔軟かつコスト効率の高いものにするためには、取引可能な証書制度の導入と、原料の実際の転換を保証するトレーサブルなマスバランス方式を組み合わせることも重要です。

要するに、EUにおいて最終製品に含まれる化学品の20%を持続可能な炭素由来とする義務を導入した場合、約2,200万トンの炭素が化石由来から持続可能な炭素へと転換され、約6,000万トンのCO₂排出削減につながるとともに、約400億ユーロの投資を促進する可能性があります。

Perstorpの最新のホワイトペーパー「RE-carbonizing chemicals – breaking the fossil dependence of products in the EU」では、欧州のカーボン経済の全体像、化石炭素から持続可能な炭素への転換をどのように推進するか、その際の制約と必要な優先事項、そして包括的な政策フレームワークの提案を、複数のスライドとともに詳細にまとめています。ホワイトペーパーをこちらからダウンロードしてください。