パーストープの歴史

創立者であるWilhelm Wendtは、パーストープが現在のように最先端のスペシャリティケミカル企業として成功することを想像だにしていなかったでしょう。しかし、彼はきっと驚かないと思います。天性の起業家精神を備え、必要性に突き動かされて起業したWilhelmは、夢中になりながら勤勉に自らのビジョンに従いました。これはあらゆる点において、成功するための必須条件です。
この137年間には、たくさんの出来事が起きました。どの業界でも同じですが、良いときもあれば悪いときもあり、小さな変化も、グローバルな転換もありました。その中でパーストープは、化学品の会社としてあるべき姿を導いてきました。あらゆる困難に直面しても、スウェーデン人らしい粘り強さを発揮すること。どのような行動にも先を見越し、責任感を持つこと。持続可能な進歩のためにイノベーションにフォーカスすること。
現在のパーストープは、苦労の末に獲得した豊富な知見と、創立者と同じエネルギーと献身によって重ねられた豊かな歴史経験の上に成り立っています。さらに、私たちが今築いている歴史も同様に、あらゆる点で重要なものとなるだろうという確固たる自信があります。
1880年代
パーストープの創立者、Wilhelm Wendtが会社を興し、Stensmölla Kemiska Tekniska Industriと名付けました。この会社のでは、酢酸、タール、木炭、メタノールを製造していました。


1890年代

Wendtは、自身の事業を存続させていくためには、炭焼きによって生じる原材料を最大限に精製し活用していく必要があると認識しました。この考え方が、蒸留によって生じるあらゆる廃棄物の活用や精製、および多くの新製品の開発につながっていきます。

1900年代

ホルマリンの製造開始。スウェーデンの経済危機にもかかわらず、新しい化学品製造のための実験は続いておりました。クレオソートの製造が重要な収益源となりました。日露戦争のため、クレオソートはすべて日本軍向に販売されました。

1910年代

第一次世界大戦による酢酸の特需が発生しました。酢酸が飛ぶように売れたため、酢酸は、長年にわたってパーストープの中で最も有名な製品として挙げられるようになりました。パーストープは、ガラス瓶の需要を満たすため、自社製のガラス器の製造も始めました。パーストープ製の初期の頃のガラス器は現在、コレクターズアイテムとして非常に価値の高いものとなっています。

1920年代

スウェーデンにおける初期のラジオおよび電機業界が、パーストープのIsolitなどプラスチックの大口のユーザーとなりました。環境的配慮は、本当の意味ではまだ形になっていませんでしたが、現地の管理責任者はすでに、副産物の廃棄方法を制限することの重要性を認識し始めていました。ラミネートの製造開始。

1930年代

経済危機の間も、パーストープはほぼ毎日のように新たなプラスチック製品を開発していました。その中でも、ビーチパーケットフロアはヒット製品であり、これがスウェーデン最大のパーケット工場の創設につながります。


1940年代

第二次世界大戦により、自動車用ガスの生成のための良質な炭の需要が高まりました。新たに炭焼き工場を建設したばかりのパーストープの経営状態は大幅に上向きました。終戦時には、パーストープはスカンジナビア初の近代的なプラスチック産業として台頭することになりました。当時は、ビリヤードのボールから船のマストまで、1万種類以上の製品を手がけていました。

1950年代

戦後は、装飾ラミネートが一般的に普及し始めました。パーストープは、新しく明るい色のボードを発売し、すぐに成功を収めました。パーストープの売上高は50%増加し、労働者のために新たな社宅が建設されました。

1960年代

会社の規模が拡大し、従業員が増員され研究が増えました。新社長J.O.Nauclérによるパーストープ研究基金(Perstorp Research Foundation)の創設。 パーストープは、ホルマリンから作られる多価アルコールの塗装業界向け供給を開始し、これが当社の重要製品となりました。

1970年代

株式の公開市場への上場。パーストープは、国際的な企業買収に着手し、装飾用高圧ラミネートの世界最大の輸出業者となりました。この10年間には、会社の歴史の中でそれまでに類を見ない規模の研究および製品開発プログラムも開始されました。

1980年代

バイオケミカルなどの新分野への拡大。Pergoの発売を開始し、この製品はパーストープの最重要製品の1つとなりました。Pergoは、フロアラミネートであり、パーストープがラミネートおよび化学の分野での長年積み重ねてきたノウハウから生み出された製品です。現在、Pergoは独立した上場企業となっており、世界のフローリング市場で有名なブランドとなっています。

1990年代

中核事業に回帰した時代。すべての非化学および素材関係の事業を売却し、パーストープはスペシャリティケミカルにおける世界のリーダーとなるという目標を定めました。化学分野に再度的を絞ったことにより、パーストープは2001年に、未公開株式投資会社、Industri Kapitalの傘下にあるSydsvenska Kemi ABに買収されました。

2000年代

Boltorn™デンドリマー技術およびその他のイノベーションにより、ますます多くの用途に優れた製品を提供することが可能になりました。パーストープが世界中のお客様向けに開発を続けていくということが、勝利の方程式のすべてです。2001年、パーストープは株式市場への上場を廃止し、Neste Oxoとの統合に着手しました。

2005年

スペシャリティケミカルに重点を置く段階が完了し、需要が高まっている分野に対応するために大規模な投資が始まりました。この年の終わりに、投資会社、PAIパートナーズがIndustri Kapitalからパーストープを買収しました。


2007年

スカンジナビア最大規模のプラントで再生可能自動車燃料の製造が開始されました。現在、パーストープは、レイプシードメチルエステル(RME)のスカンジナビア最大のメーカーとなっています。主なお客様は、パーストープのRMEをディーゼル油に混合する石油会社ですが、多くのバスや輸送会社も、100%のRMEの使用を開始しています。

2008年

環境負荷の小さいさまざまな「グリーン」製品の発売開始。これには、環境に優しいポリウレタンコーティングで使用されるポリカーボネートポリマー「Oxymer™」や、ポリマーを水に溶けやすくする、ポリウレタンコーティングの成分「Ymer™」などが含まれます。

2009年

パーストープの製造拠点で、ギ酸カリウムの新たな製造工場の稼働開始。アジア地域の成長に対応するために、アジアに新たな運営拠点を設立。グループ全体の事業業績をモニタリングするために、パーストープ業績システムを導入。このシステムは、予定外のダウンタイムを減らし、仕事の満足度、安全性および製品の品質を高める目的で導入されました。

2010年

パーストープは、世界初の再生可能ペンタエリスリトール、Voxtar™の発売に成功しました。この製品により、二酸化炭素の排出量を最大で75%カットすることが可能になります。さらにパーストープは、特殊ポリオール、Holtac™も発売しました。この製品は、PVCプラスチックにおける安定剤としての鉛の使用からの脱却に貢献するものです。

 

2011年

パーストープは、食品および飼料としての牧草を保存する新たな製法の開発、ならびに抗生物質の使用を減らしながら動物の成長と健康を促進する酪酸の製法の開発を完成させました。これらの製品は現在、それぞれProSeed™ MI 700およびProPhorce™ SRの名称で販売されています。
同年、ウォリントン工場への投資を終え、モノマーの生産能力が倍増しました。モノマー需要の拡大に合わせて、ポリオールと熱可塑性樹脂の生産能力を増強するため、その後も投資が続けられています。パーストープは、カプロラクトンにおける世界の技術リーダーとなり、知識、専門知識、工場および試験施設を独自に組み合わせて展開しています。

2012年

サスティナビリティへの更なるフォーカス。パーストープの主要製品群のすべてに対して現在の排出物の見直しを実施し、エネルギーの効率的な利用や廃水の削減などの観点に関して検討しました。 

2013年 

2013年、パーストープは中国山東省の淄博市(Zibo)に新たな製造施設を落成し、新たにネオペンチルグリコール(Neo)の製造が開始されました。この工場は、Shandong Fufeng Perstorp Chemical Co., Ltd.の製造拠点として稼動しており、2008年からトリメチロールプロパン(TMP)を製造しているパーストープの既存工場に隣接しています。パーストープは常に安全、健康および環境を第一に考えており、この2つの施設は、安全および環境に関する複数の賞を受賞しています。同年、パーストープは、ホルムアルデヒド技術および触媒事業、FormoxをJohnson Mattheyに売却しました。

2014年

2014年初めより経営陣を刷新し、新たな市場主導型の組織構造への段階的な変革が始まりました。2014年、パーストープはSlovakian Chemko a.s. Strážskeからペンタエリスリトールおよびギ酸カルシウム事業を取得しました。 パーストープにとってこの買収は、ポリオールの生産高を増やし、市場のリーダーシップを強化していくという意欲的な投資計画の一環です。

2015年

パーストープは、スウェーデンのステヌングスンドに新たなOxo工場を無事落成しました。これは、パーストープの歴史の中で1つの施設に対するものでは最大の投資であり、最も重要な意味を持つ投資の1つでもあります。2015年と2016年の段階的な生産能力の増強により、可塑剤Emoltene™ 100およびPevalen™などの革新的製品の効果的な製造が可能となりました。この年の後半、パーストープは日本の化学メーカー、広栄化学工業からペンタエリスリトール事業を取得することでアジアでのポジションの強化に取り組みました。事業移転の一環として、広栄化学工業は、日本におけるパーストープの代理店を担い、日本市場における優れたサービスとお客様との信頼関係を継続していくことになります。    

ノルウェーでも、パーストープがフレドリクスターにある既存のバイオディーゼル工場を購入し、年末までに生産能力がほぼ倍増すると見込まれています。

2016年

戦略的投資プロジェクトValerox(スウェーデン、ステヌングスンドにおけるOxo製品の新たな製造工場の建設)により、2基目のリアクターが完成し、稼働が開始されました。このリアクターは主に、吉草酸および2-PHの追加製造に使用されます。つまり、合成潤滑剤や製薬業界などの新たな応用分野に対応できる設備が整うことになります。

パーストープは、ノルウェーのフレドリクスターのバイオディーゼル工場を取得し、ノルウェーのバイオ燃料市場における成長をサポートしてきましたが、これが自動車以外の分野への足がかりにもなりました。 

2016年は、何製品かの生産高において記録となる1年でした。パーストープの施設でのTMPについては、11月の時点でこれまでの生産高記録が塗り替えられました。また、ステヌングスンドのDPHP工場では7日間の生産高記録が複数回達成されたほか、中国山東省のZIBOプラントでは年間TMP生産高の記録が達成されました。 
11月17日、パーストープは経営再建プロセスを無事完了し、新たな長期的な資金構造を確立しました。これは、事業の継続的発展と将来的な市場での立場の強化に向けた確固たる基盤となります。 

優良企業から最高の企業を目指すパーストープの変革は中間点を迎えており、これまでの投資も相当なものとなっています。今後は、これらを十分に活用し、強化と伝達の段階へ入ろうとしています。